悪霊

小説・古典
著者ドストエフスキー
翻訳江川卓

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評価
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スメルジャコフ [2006年12月24日(日)]

評価:



「アンナ・カレーニナ」「悪霊」「白痴」「ドンキホーテ」「菜の花の沖」「城」は、
 いつか読んでみたい本である。

 だが、どれも長編で、ちょっと覚悟がいる。

 年末は、どれか読んでみようと思い、立ち読みをしてみて、
 けっきょく「悪霊」を読んでみることにした。

 しかしねぇ、300ページ読んでも、主人公が本格的に
 出て来ないというのは、どうだろう。

 忙しすぎる現代人には、向かないかも。

(まだ読みかけなので、評価は保留)


スメルジャコフ [2007年02月08日(木)]

評価:

クリスチャンのドフトエスキー評は、
おそらく、僕とは、まったく違うと思う。
きっと、聖書の視点からの批評をすると思う。

それでは、キリスト教を知らないと、
面白くないかというと、また、そうとも言えない。

劇画風のストーリィ展開が、とても面白い。
それと、追い込まれた人の心理や、
(アダムが知恵の実を食べて以来の)
人の理性による罪が、全編で描かれていて、
これらは、仏教徒の僕が読んでも、十分に面白い。

ストーリィは、
スイスに集まり夢想した奴らが、
郷土のロシアに帰ってきて革命を起こそうと企てる
物語である。

彼らは、革命の手はじめに、まず事件を起こそうとする。
その理由は、625ページのリャムシンの供述が分かりやすい。

「社会の基礎の系統的な震撼、
社会とその全根幹の系統的な解体のためです。
すべての人々に自信を喪失させ、全体を混乱状態におとしこみ、
このようにしてぐらつきだし、
病的に無力化し、冷笑癖と不信心に取り付かれ、
しかも同時になんらかの指導的思想や自己保存を際限もなく
貪欲に求めている社会を、
謀反の旗をかかげて一挙に手中に収めてしまうことです」

ストーリィもそうだが、この言葉からしても、
何かを連想させる…そう、「オウム事件」である。
偶然なのか? それとも彼らは、
実際に、この本をテキストにしたのか?

もっとも「病的に無力化し、冷笑癖と不信心に取り付かれ」という
部分は、いま日本全体を覆っている空気だけどね。

最後のスタヴローギンの手紙の一部も興味深い(P636)

「自身の大地とのつながりを失った者は、自身の神も失う。
つまり、自身の目的も失うという。何事も際限なく議論できるけれど、私の内部から流れ出たものは、なんらのおおらかさも、なんらの力ももたないたんなる否定のみでしかなかったのだ」

クリスチャンに会う機会があったら、
この言葉の意見を聞いてみたいなぁ。

ちなみに、上記の「自身の神」を「浄土」に変え、拡大解釈すれば、
仏教徒の僕にも、実感として分かるが。


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